現パロちょこへ
小平太女体化
唐突に始まるエロ

襲われるのは長次です




以上四点が大丈夫な方は
スクロールでお進みください。












どうしてこうなった。

一人で寝るのがやっとなシングルサイズのベッドの端っこに追いやられた長次は、どこか他人事のようにそんなことを思う。
壁際に追い詰められ身動きがとれない己の右側には、同じ団地に住む気心知れた幼馴染がぴったりと寄り添っている。はっきり言って、意味がわからない。

枕元においた目覚ましで時間を確認したいけれど、長次の腕を枕にし、シャツの裾を握って放さない小平太によって、それも叶わない。差し込む光の緩さから、まだ早朝なんだろうと中りをつけると溜息をこぼした。

で、一体これは、何なんだ。

自分の左側には、日向ぼっこする子猫のように気持ちよさそうに寝息を立てる小平太がいる。パジャマ代わりのTシャツの裾を引っ掴んだまま、長次の左手を枕代わりにして。
というか、なぜか同じベッドに寝ているのだ。おかしい。自分の記憶が確かならば、昨夜眠りについたときには一人だったはずなのに。
寝起きなのに加えて、突然の来訪者に度肝を抜かれ、頭の中が絡まった糸みたいにごちゃ混ぜだった。

果たして自分と小平太はひとつの布団に寝っ転がって一夜を明かすような間柄だっただろうか。いいや、答えはノーだ。
こちらは小平太に友達以上の感情を抱いているけれど、それを本人に伝えたことは一度もないし、小平太から言われたことも以下同文である。

同じ市営団地の、同じ棟の、同級生。幼稚園に通う前からの付き合いの、気心知れた幼馴染。それが今の二人を形容する言葉のはずだった。それがこの展開である。まったくわけが分からない。

ぐるぐると悩んでみたものの、元凶である小平太は見事なほど夢の中で、離れてくれと願ったところで叶いそうもなかった。

ここは自分の部屋で自分の寝床だけれど仕方ない。小平太にベッドを譲り、床に雑魚寝、もしくはリビングのソファのお世話にでもなろう。そう思い、布団から抜け出そうと起き上がった。その時だった。

突然伸びてきた小平太の腕が首に絡まり、声を上げる間もなく唇が塞がれる。あたたかくて、やわらかい感触。一瞬で離れたそれが口づけだったことに気づいたのは、小平太から二度目のキスをされてからだった。

「……ちょっ、ま、待てっ」
「まーたーなーいー」

寝ぼけているのか。はたまた、確信犯なのか。どちらにしても性質が悪い。悪すぎる。

やめろと全力で拒みたいけれど、残念ながら出来なかった。なにせ、一つ屋根の下では家族が寝息を立てている。物音でも立てて、ドアを開けられたら一巻の終わり。実際に襲われているのは自分の方だけれど、客観的に見れば絶対に自分が連れ込んだと認識されるに決まっている。それだけは絶対にごめんだった。

こちらの抵抗が弱いのをいいことに、小平太は長次の腹に乗って、場所を変え、角度を変え、口づけを与えてくる。
彼女が寝巻き代わりに着ているのはダボダボのTシャツ。見覚えのあるそれは長次のお古で、サイズが合わなくなったからと処分しようとしていたところに小平太が「捨てるくらいならくれ。」と言われ譲ったものだ。部屋着にするといっていたけれど、本当に着ていてくれているのか、と思えば、なんだか愛しさが込み上げる。その反面、非常に目のやり場に困った。

長次には些か小さいそれも、小平太が着ればこんなにも大きいものなのか。

馬乗りになった小平太と長次の間にはほんの少しだけ距離があって、だからと言うべきか、大きく開いた襟ぐりから色々丸見えだった。
寝るときは下着を着けない主義なのか、豊満な乳房が惜しげもなく晒されていて、目に毒過ぎる。付け加えて朝だ。男の生理現象もある。やばい、すごくやばい。
なんとか意識を逸らそうと思うのに、今度はぎゅっと抱き着かれて、柔らかな感触に体が熱くなる。

「あ、勃ってる」

耳元で呟かれて、顔から火が出そうになる。
わかってるなら開放してくれ。もしくは出てってくれ。そんな気持ちをこめて「いいから退け」と睨む。けれど、ドスの利いた声も、威圧的な視線も、小平太にはさっぱり通用しなかった。それどころか「手伝ってやる。」なんて、スウェットの中に手を突っ込まれて、口から心臓が飛び出そうになってしまう。

「やめろっ!」
「やぁだ」

存外細い指が長次自身に触れる。形を辿るように撫でる。息が詰まる。
自分でしたことはあっても、他人に触られる経験はない。初めての体験で、おまけに好いた相手となれば、もうたまらなかった。
咄嗟に頭を振り、ぎゅっと目を瞑る。ついでに覚えている限りの数式を頭の中で唱える。
小平太の前で暴発だけは絶対に避けたい、その一心でとにかく気を逸らすことに必死だった。

下から撫で上げ、くびれの部分から先端にかけて、親指の腹で擦る。最初はおっかなびっくりといった感じだったそれも、次第に慣れてきたのか、どんどん激しさを増していく。

小平太はといえば、行為をやめる気は一切ないらしく、ますます大胆に手のひらを動かしてきて、体は熱いのに泣きたくなってくる。

「本当に…っ、やめろ……っ!」

これ以上は洒落にならない。情けないのは百も承知。小平太の二の腕を掴むと、勘弁してくれと懇願する。なのにそんな長次の気持ちにこれっぽっちも気づいていないのか「遠慮するなって!」と軽くスルーされてしまう始末だ。それでも必死に腰を引いて逃れようとしていると、やっとこちらの心情を察してくれたのか、下着の中に潜りこんでいた手をようやく抜いてくれた。ほっと息を吐く。

ついでに腹の上からも退いていただきたい。でもって、解放していただきたい。

そんな長次の願いを余所に、小平太は相変わらず腹に乗っかったままだった。

「……いい加減に、」

退け、という言葉は次の小平太の行動で、喉の奥に引っ込んでしまった。

「長次も触っていいぞ」

にこやかな笑顔と共に長次の手を取る小平太に、なにを言ってるんだろう? と首を傾げていると、そのまま服の中に導かれてぎょっとしてしまった。

腰から脇腹を辿って、柔らかな乳房に触れる。己には絶対にない柔らかい、けれど弾力のある肉感。手のひらから伝わる人肌のぬくもり。なめらかな感触。初めて味わう小平太の体に、全身の血液が集まったんじゃないかと思うほど、顔が熱くなる。

「なっ、」
「一人じゃ恥ずかしいもんな。長次も好きにしてくれていいぞ」

いやいやいやいや、そういう問題じゃないだろう。

理性の部分では、張り倒してでもこの行為を泊めさせるべきだとわかっていた。なのに、本能の部分でそれを拒んでいる自分がいて、そんな汚い自分を見て見ぬふりをする自分に、また落ち込んでしまう。
だってそうだろう。どうしてこうなったかは別として、好きな女とこんな状況に陥って、それでも突っぱねられる男がいたら是非ともお会いしたい。だって据え膳だ。男だったら食うべきだろう!

自分を若干正当化しつつ、これはもうただの夢なんじゃないかと思いたくなる。しかしながら、下腹部のもどかしさも、伸し掛かる重みも確かに現実のものだった。
長次に乗っかったままの小平太は、腹に手をついていやらしく腰を動かしている。布越しに擦れ合うさまは、さながら本当のセックスのようで、ますます血液が集まっていくのを感じてしまう。

「どお? 興奮してきた?」

言われなくても、とっくにしてる!

快楽に正直な男の反応くらいすぐわかるだろうに、なんという意地の悪さか。おまけに上目遣いで、「もっと触って、」なんて。どれだけ煽れば気が済むのか。
苦々しい気持ちと、この快楽にすっかり流されてしまいたいという願望。この二つの間でシーソーゲームを繰り返す。

半ばヤケクソになりながら、小平太のおねだりにしたがって乳房を揉みしだくと、うっとりした甘い声が上がる。徐々に熱を上げ、ひっきりなしに漏れ始めるそれに、家族に勘づかれたらまずいと、の唇で塞ぐ。

「……んっ、ふぅっ、」

くぐもった声のやらしさといったらなかった。小学生がそのまま大きくなったような普段とのギャップに、ますます熱が高まっていく。

このまま、もっともっと、小平太を味わいたい。ひっくり返して、膝裏を掬い上げて、胸だけじゃなく、小平太のすべてを見たい。暴きたい。どんな声で啼くのか、どんな表情をするのか。全部を知りたい。

マグマのように込み上げてくる凶悪な欲に屈しそうになる。でもここで本能のままに突っ走ってしまったら、それこそ強姦魔と変わらない。そんな風にして、手に入れたくなどない。

手を止めると、小平太を掻き抱く。ぎゅうっと抱きしめて、耳元でダメだと呟く。
だめだ、これ以上は冗談では済まない。だって何も言っていない。自分の気持ちは何一つ、伝えていない。なのにこのまま貪ったら、自分で自分を殺したくなる。だからダメだ。

恥も外聞もなげうって、素直に気持ちを吐露したというのに、肝心の小平太は一向に退いてくれなかった。
一体なんなんだ。

「……これ以上するつもりなら、責任取ってもらうぞ」

お前の気持ちも体も、全部貰う。苦々しい気持ちで吐き捨てた台詞に小平太はにんまりと笑うと。

「安心しろ! 最初からそのつもりだから!」

そして再開だと言わんばかりに、何度目かわからないキスが降ってくる。舌を絡めるいやらしい口づけと、幼子のように笑う姿のギャップに、参りました、と両手を上げて屈服せざるを得なかった。








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2013/08/01



一日過ぎちゃったけど、七松の日&中在家の日おめでとう!