瀕死の恋に救いの手を」の続き
留伊・すごい短い。



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一頻り泣いて疲れてしまったのか、小平太はぜんまいの切れた玩具のようにピクリとも動かない。普段の騒がしさとはうって変わったこの静かさに伊作はひやりとした。
まさかと思いつつ念の為呼吸を確認。
口元に手を翳して、僅かにかかる息と胸の上下運動を見てホッと息を吐いた。

すっかり伊作の布団を占領してしまった小平太に、僕も眠いんだけど、と内心毒づく。けれど長次の事を思って心を痛めている小平太を無碍にすることも出来なくて伊作は項垂れた。
演習や任務では、野宿はよくあることだった。屋根があるだけましとも言える。寒さが身に凍みる時期でもないし、床で寝てしまおうかと考えたが、明日の授業内容を思い出し踏みとどまった。
明日は演習だ。座学の授業ならまだしも、体を使う前日に固い床の上でごろ寝はきつい。きっと朝には体がボキボキいうに決まっている。

「寝床取られたな」

ご愁傷様、と留三郎が衝立から顔を覗かせた。
散々傍観者を決め込んでいて、こんなときだけちょっかいを出してくるもんだから性質が悪い。

「そう思うなら留三郎の布団を提供してくれよ」
「嫌だ」
「だよねぇ」

予想通りの反応にこめかみを抑えた。もう苦笑しか出ない。
小平太の面倒を見て寝床まで提供して。労いの言葉の一つくらいかけて欲しい。
こんなとき、仙蔵だったらなんだかんだ文句を言いつつ招き入れてくれるかもしれない。しかし悲しいがな此処にいるのは留三郎だ。六年間同じ教室で学んできたのに、なんて非情なんだろう…トホホ。

「やっぱり一つの布団で寝るのは無理があるもんね」
「お、お、お前!一緒に寝る気だったのか!?」
「そうだけど」

しれっと言ってのけると留三郎は顔を真っ赤にしていた。




どうしよう可愛すぎる






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2010/9/11



title:確かに恋だった



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