ワンクッションという名の注意書き。

*これの続きです。
*にょたパロです。
*長こへです。
*文次郎が不運です。
*非常に中途半端です。


大丈夫な方は下スクロールでお願いします。
後味の保障は出来ません。























彼女とは健全なお付き合いをさせていただいています*2





(小平太視点)



そうして今現在、ドラッグストアに居る。
時刻は五時、普段なら体育館ではしゃぎまわってるはずなのに、それが出来なかったのは伊作に強く言われたからだ。
妊娠の可能性が1%でもあるうちは薬も駄目、激しい運動も駄目、ストレスだって溜めないように。そして、出来るだけ早く確認するようにと、ここまで連れて来られたのだ。
学校からも自宅からも遠いそこを選んで、更に自宅で一回着替えた上でやってきた。そして目当ての物を探る。

「見つけた」

そう言って伊作が手に取った箱は、優しさが半分詰まっている薬より細くて長い箱だった。書いてある桃色の文字に心底げんなりする。
妊娠検査薬。
これ、買わないと駄目なんだろうか…。
目で訴えても伊作は許してくれなかった。早くレジへ行って、と目で圧力がかかる。…怖い。

これだけをレジに持っていくのはすごく嫌だったから、食品コーナーで適当に袋菓子をニ、三個抓んで腕に抱えた。そうしてレジに向かおうと方向転換をした矢先、目の前の物体にぶつかって手にしていた物を全て落としてしまった。

「ぶっ!」
「いってぇ!」

突然上がった声に前を見やれば、そこには人が立っていた。通りで柔らかいと思った。
安心したのはそこまでで、次の瞬間振って沸いた声色に顔が引き攣った。小平太?、とよく知った声が降って来てひやりとする。
ぶつかった物体は人間で、クラスメイトの潮江文次郎だった。

「悪い」

そう言って文次郎はご丁寧に落とした物に手を伸ばしてきてぎょっとする。
あれが見つかったらヤバイ!絶対ヤバイ!

「わ、私が悪かったし、拾わなくていい…」

慌てて止めに入ったのに、文次郎が一番に拾ったのはポテチでも袋詰めのチョコでもなく、例の箱だった。

「……これ、なんだよ」

文次郎は手におさまった箱を凝視して、顔を青くしている。心なしか声も震えていた。






うまい言い訳の出来ない自分を、ここまで恨めしく思ったことは、いまだかつて無い。
それは伊作も同じようで、商品をぶちまけたまま無言で立ち尽くす文次郎と小平太を発見したものの、どう口を挟んでいいのかもわからず結局何も言えずに三人で立ち尽くす羽目になった。無言の嫌な空気を壊したのは文次郎で、話は別の場所で聞くからと半ば強制的にレジへ行けと促され、そのまま自宅に連行されてしまった。伊作と二人で。
そうして今居るこの場所は文次郎の自宅、奴の部屋である。

「あれは、どっちの買い物なんだ?」

どっちの、とは小平太か伊作かという問いだ。
伊作は何も言わないで黙っていた。自分じゃないんだから違うといえばいいのに、下を向いてずっと黙っている。それが痛々しくて、だからといって上手い嘘もつけなくて、正直に「私だ」と告白してしまった。
文次郎の眉間に酷い皺がよるのがわかった。

「相手はこの事しってんのか?」
「……しらないよ…」

知ってるも知らないも、小平太自身が半信半疑なのだから、当然お相手の長次は知らない事だ。もし仮にそうだったとしたら言わなきゃならないことはわかっているけれど、まだよくわからないうちから騒ぎ立てたくなくて、今日の事も一切言ってはいない。
文次郎の視線が痛くて、顔があげれなかった。

「つーか、男いたのか…」

文次郎の言葉に思わず顔を上げてしまった。
長次とは中学の付き合いといっていたから、てっきり知ってるものだと思っていたのに、それは見当違いのようだった。相手の存在を知らないなら、そこは黙り通して長次の耳に入らないようにしたい。ていうか、絶対に耳に入れて欲しくない。
しかしながら、小平太の突然の反応を文次郎は別の意味に取ったようだった。

「…まさか、強姦とかじゃねぇよな?」
「はぁ!?」
「え、あ、ち、違うならいい。悪かった。変な反応すっからそう思っただけだ」

そうじゃないけど、あながち間違ってもいないような気もして、背中に嫌な汗が浮かぶ。

「じゃあ、彼氏なんだな。誰だよ」
「文次郎には関係ないじゃないか」

ほっといてくれ、と突っぱねる。
だってまだわからない。可能性があるだけでそうと決まったわけじゃない。だから、そっとしといて欲しい。これは小平太の問題なんだから。
文次郎は深く溜息をつくと。

「見ちゃったんだから、ほっとけねーだろ」

そんな風に心配されたら何も言えなかった。








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2010/11/1




何を思って書いたのか、今となっては不明です。
(すみませんすみません)




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